てぃーだブログ › 沖縄ボイスラボ › 声研日誌 › 九州高校放送コンテスト 沖縄大会1日目終了
長文です。

九州高校放送コンテスト 沖縄大会1日目終了。
九州大会は1、2年生のみのエントリー。新人大会という感じですね。
私は朗読部門の審査に入りました。

自身も高校時代にエントリーしましたので、審査員として関わるのは恩返しだと思っています。
なので、講評はかなりしょっぱいことを書きます。
あたりのいい言葉は意味がないので。
今、このブログを書きながら、去年厳しい講評(私だけではない。他の審査員も)に泣き出した高校生がいたようで…事務局から「優しいコメントを…」的な事を言われたなと思い出しました。
彼らなりに一生懸命なのだろうとは思いますが、コンテストなのでね、全員で並んで走って全員一等賞というものではない。
取り組む中での気づきや成長が狙いとしてあるので、無条件であたりのいい言葉がもらえると思ったら大間違いなんじゃないかなーと思うわけです。
まあ、誰しも褒められたい気持ちはあるので、指摘されて悔しいのはわかりますけど。
でも、成長って「できないことができるようになる。わからないことがわかるようになること」ですから、そりゃ、ダメ出しされて当たり前じゃないでしょうかね。

私が「うーん、いいんじゃない?」と言ったら終わりだと思ってください。
ああ、この子に何を言っても無駄だなと思ったら発動する「うーん、いいんじゃない?」
厳しい言葉であっても何か返すというのは、「成長して欲しいから受け取ってくれ!」という気持ちの表れです。
適当に心地の良い言葉を言ってる方が楽ですもん。
どう伝えようか考えなくていいし。
悪者にもならないし。
コンテストで何を得て欲しいかはっきりしていますから、できる限りは伝えます。
その結果、また嫌われることになっても、まあいいですけど。
それは仕方ないですね。

さて。朗読について。
朗読は完全に音声での表現です。
エッセイでも小説でもいいのですが、人の感情をテーマにした作品を声だけで形にするというものです。
テレビやラジオのニュースとは全く違うものです。
(広義で音声表現ではある)
部活動ではこの辺りを伝えにくいんだろうなとは思います。
顧問の先生も指導なさっているとは思いますが、朗読の専門ではありませんし、限りはあろうかと思います。
(高校や大学時代に放送部だったという方も多いですが)
おまけに学校の部活動なので、プロに求めるようなことを求められないとも思います。
でもですね、朗読部門がある意味と繋がるところなので、スルーはできない話なんですよね。

「人の感情をテーマにした作品を声だけで形にする」が前提としてあるので、読み方が変わります。

そして読み方は作品が決めています。
朗読者は作品からそれを読み取り、音声で形にしていくのです。
「私がこう読みたい!」ではなくて、作品が…作者が「こう読んで欲しい」と決めているのです。
そこを間違えてはいけません。
技術は汲み取った「こう読んで欲しい」を、誰が聞いてもそのように受け取ってもらえるようにするためのものです。
練習のポイントは↑です。

それと、今回はとにかく発声ができていない…声量のなさが目立ちました。
9割は声が小さい。
発声は声が大きくて、最初から最後まで大声で読めればいいというものではありません。
表現と伝達の基礎です。
表現の選択肢が広がりますし、はっきり聞き取ってもらえれば伝わる確率が上がります。
「マイクがあるじゃん」という方もいるでしょうが、そのマイクにすら乗らない声量の方がほとんどだったのです。

そして一番重要なのは、「誰かに届けたいか?」だと思います。
もちろん1人で音読して楽しいというのもあるでしょう。
しかし、コンテストは「誰かに聞いてもらい、作品世界を楽しんでもらう。伝える」というのが大前提です。
それがありましたか?
テキストを追うのに一生懸命で、受け取ってくれる人の事をあまり考えられなかったのではないでしょうか?
練習不足、解釈不足ということになろうかと思います。

高校の部活動にそこまで求める? という方もいるかもしれません。
では質問します。
では、何のためにやっているのですか?
コンテストで賞を取って、内申書に書きたいからですか?
もしそうであるならば、放送コンテストにエントリーするのはやめたほうがいいかもしれません。
はっきりと評価がわかる資格や検定にチャレンジした方がいいと思います。
コンテストでも、そうでなくとも、朗読は言語化された考えや思いを理解し、音声で再構築し、伝える事。
コンテストでは朗読を通して上記を考えて欲しい、理解して欲しいというものですから。

しょっぱいコメントをもらった方は(手放しで褒めた人は1人もいなかったので、全員ですね)もう一度その辺りを考えて欲しいです。

さあ、明日は沖縄県大会決勝ですね。
作品に向き合って伝わる朗読であることを期待します。




同じカテゴリー(声研日誌)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。